ブレンパワード 全台詞集 第21話「幻視錯綜」
2012年6月1日 ブレンパワード全台詞集脚本:隅沢克之 絵コンテ・演出:西森章 作画監督:筱雅律
比瑪
(ナレーション) 「カントくんはブレンにコンソールパネル無しで乗っちゃうんだから、あたし以上だなぁ。だからブレンが、カントくんの才能に刺激されて興奮したと思うんだけど、雲から出てきた幽霊ブレンのことを考えるとあれもオルファンの仕業だと思える。オルファンは謎だ!」
米軍通告 「こちらはアメリカ合衆国の太平洋艦隊です。ノヴィス・ノアに通告します。無駄な抵抗を止め、罪の無い子供達を解放しなさい。諸君等があくまで子供達を盾にするのであるなら、我々も強行手段を取らざるを得ません。しかし、それは我々の本意とするところではありません。今すぐオーガニック・シールドを解除して人質を解放しなさい。オーガニック・シールドを解除して人質を解放しなさい!」
モハマド 「子供達を人質にしていると言うのか、盾になどしていない!」
副長 「やれやれ、我々は子供達を人質にするテロ集団ですか」
アイリーン 「デマでもいい。それが情報になって善人が悪人にもなるのよ。大陸に上陸したオルファンを53番目の州にする国のやりそうな事よ」
勇 「こんなの怖くないぞ、ネリー・ブレン。あと少しだ!」
比瑪 「きゃあああ!」
勇 「大丈夫だよな?比瑪!」
比瑪 「うわっ、痺れたぁ」
勇 「あれは・・・?」
比瑪 「綺麗。これが雲で空で、太陽でオルファン・・・」
勇 「改めてオルファンというやつが、海底にいた時とまるで違ったものに見える」
比瑪 「そうよね。宇宙に飛立とうとする羽衣、・銀河の羽衣を着た女神だわ!」
勇 「銀河の羽衣?あれを見てそんな事言うなんて。おかしいとは言わないけど、そうは見える。優しいんだな、おまえ」
比瑪 「そうかな、見える事を言っただけだよ」
勇 「リバイバルしたそのブレンと出会った時、おまえは物怖じしなかったよな。俺はグランチャーに乗る時は縮みあがったのに」
比瑪 「それはきっとグランチャーだったからよ」
勇 「いいや、そうじゃあない。そうじゃあないよ、きっと」
勇 「オルファンより比瑪の方こそ女神なのかもしれない。そういう感じ方をする心を持っているんだから」
比瑪 「勇、出てきたよ!」
勇 「オルファンの糞が!」
勇 「姉さんとジョナサンもオルファンから!」
クインシィ 「ガバナーも落ち着いていらっしゃるオルファンだ。が、大人しく帰るなら攻撃はしない。見逃してやろう」
比瑪 「勇、どうするの?」
勇 「あの3人だけなら俺が引きつける。おまえは行け!」
比瑪 「でも・・・」
勇 「オルファンが待ってるのは、きっとおまえのほうなんだ。出迎えてくれるよ!」
比瑪 「う、うん」
クインシィ 「どういうつもりだ!ブレン!」
勇 「行かせてやってくれ!姉さん!」
比瑪 「馬鹿を言うな!またブレンを自爆させてオルファンを傷つけるつもりなんだろう!」
勇 「違う!」
比瑪 「騙されるものか!」
勇 「いつになったら治るんだ!その性格は!」
比瑪 「ブレン待ってよ!勇を一人にしておけないわ!」
比瑪 「待ちなさい、止まりなさい!パートナーの言う事聞きなさいよ!」
シラー 「あのまま行かせて良いのですか?ジョナサン・グレーン!」
ジョナサン 「はっ。気にするなシラー。オルファンに魅了されるブレンパワードだっているさ。勇の進化したブレンは倒さにゃならんが、クインシィ・イッサーを守るように動かねばな」
シラー 「ああ。了解ジョナサン」
米軍兵A 「識別信号は無いのだな?」
米軍兵B 「オルファンのグランチャーには無いやつもいますが」
米軍兵C 「ノヴィス・ノアのブレンパワードです!一機、オルファン中央山脈に接近中!」
ゲイブリッジ 「勇君のか・・・比瑪ちゃんのじゃないか!流石だな」
米軍兵C 「迎撃隊出します!」
ゲイブリッジ 「その必要はない。ブレンの動きをフォロー。オルファンの体内反応のチェック」
米軍兵B 「オルファンのリアクション・・・チェック!」
ゲイブリッジ 「そうだ!」
米軍兵D 「ミスター・ガバナーへ。太平洋艦隊より入電、ノヴィス・ノアは未だに沈黙したままだそうです」
ゲイブリッジ 「やむをえん。最後通告を出せ!」
直子 「最後通告・・・ですか?」
ノヴィスクルーA 「アイリーン艦長!太平洋艦隊より最後通告がきました!」
アイリーン 「え?」
ノヴィスクルーA 「貴艦に30分の猶予を与える。それまでに人質を解放しオーガニック・エンジンを停止させなければ、核による攻撃を開始する!」
モハマド 「何だと?核の攻撃?」
ノヴィスクルーA 「僕だってスペルぐらい読めますよ!」
モハマド 「核兵器を使う?」
アイリーン 「あのアメリカが?どういう事」
副長 「艦長!オーガニック・シールドが核に通用するというデータはありませんよ!」
モハマド 「子供達を解放したにしても、アメリカは核を使ってくる・・・」
ノヴィスクルーB 「どうしてです?あの大国が?」
モハマド 「大国ったって、新興国のアメリカは今まで国家として自信が無かったんだ。しかしオルファンを手に入れて自信を付けてしまった」
副長 「なら我々も核を使いますか?」
アイリーン 「どちらにしても私達は攻撃される運命にありますね。だとしたら、子供達だけでも助けましょ!」
モハマド 「アイリーンさん・・・」
アイリーン 「オペレーター、太平洋艦隊へ返信!通告を受諾する、子供達を退鑑させる!以後の接触については協議したし!」
ノヴィスクルーA 「了解!」
クインシィ 「覚悟しろ!勇!」
勇 「覚悟なんかできるもんか!」
ジョナサン 「ならば悶え苦しんで死ぬがいい!」
勇 「ふざけるな!」
シラー 「お前を倒す事で全てを変革する事ができると、ジョナサンが言っている!」
勇 「それはそっちの都合だろ!」
比瑪 「オルファーン!聞えてー?聞いて欲しい事があるのー!オルファンさーん!」
ゲイブリッジ 「はい、オルファンの意思でなければスイッチは作動しません。大統領閣下。・・・了解であります」
直子 「ゲイブ!本当に、そのボタンを押してしまわれるんですか?」
ゲイブリッジ 「まあ見ていて下さい」
直子 「あなただって少し前までノヴィス・ノアを認めていたではありませんか!」
ゲイブリッジ 「彼等は過ぎた力を持ってしまったのです。それを野放しのままにしておいてはならないのです」
米軍兵 「我々は味方です。これからこちらの船に乗り換えてもらうから、静かに!」
ユキオ 「やだよー!」
デッキクルー 「待ってくれぇ!」
ユキオ 「何でだよ?俺達は元々この船,に乗ってたんだぞ!」
デッキクルー 「いいから早く!」
アカリ 「どうしてあたしたちまでアメリカなんかに行かなきゃならないのよ!」
クマゾー 「行かないも!」
ノヴィスクルーC 「艦長!キメリエスのレイト艦長から緊急連絡です」
アイリーン 「モニターに回して!」
レイト 「アイリーン艦長!敵戦略原潜のミサイルハッチの開閉音を探知!SLBMです!」
アイリーン 「どちらにしてもやるつもりなんだ・・・!」
比瑪 「オルファンさーん!解り合えるはずなのに戦うなんて絶対におかしいって思いません?オルファンさん!」
ゲイブリッジ 「失礼、時間ですので」
米軍兵 「ミスター・ガバナー!まだ救助艇が戻ってません!」
ゲイブリッジ 「予定は遂行する!」
米軍兵 「子供達がまだ・・・!」
直子 「・・・ゲイブ!」
ゲイブリッジ 「私がやらなければ他の誰かがやるのですから、私の手で!」
直子 「ゲイブ!」
ノヴィスクルーA 「ミサイル確認!…地域限定核弾頭搭載のものです!第1次被害、半径2000メートル以上!」
モハマド 「子供達が、まだ子供達が!」
アイリーン 「オーガニック・シールド発動!最大限!」
副長 「オーガニック・シールド最大?しかし急激過ぎます、バイタル・グロウブにどんな影響が出るか・・・!」
アイリーン 「やりなさい!」
副長 「か、艦長!ミ、ミサイルが!核ミサイルが消えました!」
モハマド 「消えた・・・?ああっ」
アイリーン 「急いでバイタル・グロウブの軌道計算をしなさい!」
ノヴィスクルーA 「計算出ました!大陸内部・・・オルファンに向っています!」
アイリーン 「やはりそういうこと」
米軍兵 「ミスター・ガバナー!ミサイルが現れました!」
ゲイブリッジ 「宜しい。その映像を全世界に送信しろ」
米軍兵 「りょ、了解!」
ゲイブリッジ 「ノヴィス・ノアは我々オルファンに対し卑劣にも核ミサイルを発射してきた。オルファンは既に数万の難民を収容しているにも関わらず、この愚挙に及んだのだ!」
比瑪 「きゃあああー!」
クインシィ 「これは!?」
ジョナサン 「まさか!?」
シラー 「核!」
勇 「比瑪はっ!?」
カント 「核・・・?」
ナッキィ 「爆発!?」
国連議員A 「ノヴィス・ノアが核ミサイルを!」
国連議員B 「我々の希望を踏み潰すつもりか!」
ゲイブリッジ 「だが我々はこれに屈しない!誇りあるアメリカ合衆国の名において我がオルファンはノヴィス・ノアと戦い続ける事をここに宣言する!」
ナッキイ 「アイリーン艦長も思い切った事をやったな」
カント 「こんな事するわけありませんよ!オルファンを核攻撃したってどうにかなるもんじゃないんですよ!」
ナッキイ 「じゃあ・・・」
カント 「これはオルファン側の策略に決まっているでしょう?」
(アイキャッチ)
米軍原潜艦長 「発射!」
ノヴィスクルーB 「第2派きます!物凄い数です!」
モハマド 「何故撃ってくるんだ!ノヴィス・ノアにはミサイルは効かないって何故分からないんだ!?」
副長 「しかしこの数が来るんだ、どうなるか分からんぞ!」
アイリーン 「効果があると分かっているんでしょう!覚悟してちょうだい」
ユキオ 「数が分からない?」
クマゾー 「も」
アカリ 「えー」
ユキオ 「うわっ」
クマゾー 「わぁー」
アカリ 「くるー!」
クマゾー 「…」
ユキオ 「人生はまだあるぞ!」
アカリ 「あるの?」
クマゾー 「あるも」
副長 「ミサイル全弾、バイタル・ネットに乗りました!」
アイリーン 「りょ、了解、神よ」
バロン 「ん?」
フィジシストA 「ミ、ミサイルじゃないか!」
フィジシストB 「オルファンに、我々に向ってる!」
バロン 「ガバナーの奴、ここに至ってあのノヴィス・ノアを孤立させ、自滅させるつもりか。その為にこんなにも手の込んだ芝居をうつのか!」
米軍士官 「ガバナー閣下へ」
ゲイブリッジ 「ん?」
米軍士官 「ここの大陸の政府から感謝状が入りました。我が国の増え過ぎた人口を合理的に間引きをして頂いてありがたい、と」
ゲイブリッジ 「そのような事・・・」
直子 「ゲイブ、あなたって人は・・・あなたって人は、人の命を何だと思っているのですか!」
ゲイブリッジ 「文明を妄信する人類の目を開かせる為にはこんな方法しか無かったんです!直子さん、私がこんな役目を喜んでやっているとでも思いますか!」
直子 「あなたはこんな事をする方ではなかった」
ゲイブリッジ 「僕は変わっていませんよ。昔からこの旧態依然とした社会に変革を齎そうと考えていました!その為だったら大量虐殺の汚名を着せられても受けるつもりです!」
ゲイブリッジ 「人類粛正の汚名は・・・全て僕が被るつもりです。しかし、ここまでのオルファンの動きは人類絶滅の方向に進んでいるんです」
直子 「ゲイブ・・・」
ゲイブリッジ 「しかしオルファンがもたらす結果が、地球の生命体全てを根絶やしにするとも思えないのです。ですからね、直子さん・・・」
ゲイブリッジ 「あなたには、あなただけにはこの気持ちを理解して欲しかった」
直子 「分かりました、もう何も言いません。もうあなたから離れませんから」
カント 「あれは核ミサイルの光・・・でも、ここにもオルファンに入国したいという人がいるんだ!」
ナッキイ 「どこへ行くんだ?カント!」
カント 「何とかしないといけないでしょ!」
ナッキイ 「何を、どうしようというんだよ。ここまで来て!」
クインシィ 「ミサイルが来るだと!?」
勇 「姉さんと戦っている時じゃない!この光・・・ネリー・ブレン、分かっているよな?」
ナッキイ 「どうやるんだよ!」
カント 「チャクラでトライアングルを作ります!ノヴィス・ノアの真似です!」
ナッキイ 「だったら、一人足りないぜ!?」
カント 「いや、今来ました」
ナッキイ 「うぉっ」
勇 「カント!」
カント 「チャクラ・トライアングルをバリアにします、いいですね?」
ナッキィ 「了解!」
勇 「いいぞ!」
カント 「数が多過ぎる!・・・駄目かもしれない」
勇 「もっと広がれ!俺達の後ろにはオルファンと比瑪がいるんだぞ!」
ナッキィ 「グランチャー?」
勇 「姉さん?」
ナッキィ 「こいつら?」
カント 「協力・・・してくれてる?」
シラー 「クインシィ・・・ジョナサン、何故ですか!」
ジョナサン 「ミサイルがオルファンに跳ね返るのはガバナーに分かっていた!奴の思い通りにさせる気はない!」
クインシィ 「オルファンが傷つけられるのを黙って見ていられるか!」
勇 「姉さん・・・クインシィ・イッサー!」
クインシィ 「分かっている!勇!」
勇 「みんな!力をー!」
勇 「止まれぇー!」
クインシィ
ジョナサン
シラー 「うおおおー!」
ナッキィ
カント 「うわあああ!」
ナッキィ 「止まった・・・」
カント 「止まったけど、起爆装置は?」
ジョナサン 「これが、アンチボディの力かよ!」
クインシィ 「不思議だ・・・不思議な感覚だ。涙が・・・涙が、溢れる・・・」
研作 「男の子だ、でかしたぞ翠!こいつは俺のDNAを継いだんだ!」
翠 「もうお姉ちゃんね、依衣子」
研作 「俺の子だ。俺のDNAだ!」
警官 「待てえ!」
ナッキィ 「うあっ!」
ナッキィ 「ママの誕生日なのに・・・!」
学生A 「天才の癖に誕生パーティなんかやるなよ」
学生B 「むかつくんだよ、人並みな振りしやがって」
学生C 「おーいカント!そーらよ!」
シラー 「皆起きて!今夜頑張ってくれれば明日にはパンを盗んできてやるから、死ぬんじゃないよ!・・・起きててよ!」
勇 「俺はもうお前には乗らない・・・乗りたくないんだ。お前だって辛がってるのが分かるから・・・乗らないよ・・・!」
比瑪 「さあ、もう泣かないで寂しくないよ。あたしだってあなたに触れるから寂しくない」
少女 「えっ?」
比瑪 「寂しがる殻というのがあってね、いつまでもそこに閉じ篭ってると泣いちゃうんだよ」
少女 「寂しがる殻?」
比瑪 「うん。その殻の中にいるとずっと泣いちゃうんだよ。だからね、そこからは出るの」
少女 「殻から出るの?」
比瑪 「そう。あたしは宇都宮比瑪っていうんだ」
少女 「比瑪姉ちゃん?」
比瑪 「そうだよ」
少女 「ああ!そうか!あたしね、比瑪姉ちゃんをずっと待ってたんだ!」
比瑪 「ああ・・・!」
比瑪 「あなた・・・」
比瑪 「きゃあああ!」
比瑪 「こんなもの、無くったって人は!生きていけます!」
比瑪 「めえでしょ!・・・うあっ!」
勇 「なんだ?」
カント 「チャクラ・シールドが膨張してるんです!みんな逃げて下さい!」
勇 「来たっ!」
クインシィ 「しまった!」
ジョナサン 「クインシィが!」
カント 「勇さん!」
ゲイブリッジ 「こういう力を持っていたんですよ直子さん、オーガニック・エナジーは」
直子 「え、ええ」
ゲイブリッジ 「オーガニック・エナジーの可能性というものを垣間見る事ができた」
直子 「比瑪ちゃんは・・・」
ゲイブリッジ 「すぐにあのブレンパワードを回収しろ!」
ジョナサン 「バロン!クインシィ・イッサーがどこかへ飛ばされてしまったんだぞ!なのに!」
バロン 「リクレイマー部隊の作戦は中止だ。今後はジョナサンが指揮をとればいい」
ジョナサン 「バロン!」
バロン 「オルファンが生まれ変わる時がきたのだ。ハーッハッ!」
アイリーン 「イランド部隊、ブレン達は勇達と合流、回収して!」
第20話「ガバナーの野望」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201207101802064457/
→第22話「乾坤一擲」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201209010030393229/
比瑪
(ナレーション) 「カントくんはブレンにコンソールパネル無しで乗っちゃうんだから、あたし以上だなぁ。だからブレンが、カントくんの才能に刺激されて興奮したと思うんだけど、雲から出てきた幽霊ブレンのことを考えるとあれもオルファンの仕業だと思える。オルファンは謎だ!」
米軍通告 「こちらはアメリカ合衆国の太平洋艦隊です。ノヴィス・ノアに通告します。無駄な抵抗を止め、罪の無い子供達を解放しなさい。諸君等があくまで子供達を盾にするのであるなら、我々も強行手段を取らざるを得ません。しかし、それは我々の本意とするところではありません。今すぐオーガニック・シールドを解除して人質を解放しなさい。オーガニック・シールドを解除して人質を解放しなさい!」
モハマド 「子供達を人質にしていると言うのか、盾になどしていない!」
副長 「やれやれ、我々は子供達を人質にするテロ集団ですか」
アイリーン 「デマでもいい。それが情報になって善人が悪人にもなるのよ。大陸に上陸したオルファンを53番目の州にする国のやりそうな事よ」
勇 「こんなの怖くないぞ、ネリー・ブレン。あと少しだ!」
比瑪 「きゃあああ!」
勇 「大丈夫だよな?比瑪!」
比瑪 「うわっ、痺れたぁ」
勇 「あれは・・・?」
比瑪 「綺麗。これが雲で空で、太陽でオルファン・・・」
勇 「改めてオルファンというやつが、海底にいた時とまるで違ったものに見える」
比瑪 「そうよね。宇宙に飛立とうとする羽衣、・銀河の羽衣を着た女神だわ!」
勇 「銀河の羽衣?あれを見てそんな事言うなんて。おかしいとは言わないけど、そうは見える。優しいんだな、おまえ」
比瑪 「そうかな、見える事を言っただけだよ」
勇 「リバイバルしたそのブレンと出会った時、おまえは物怖じしなかったよな。俺はグランチャーに乗る時は縮みあがったのに」
比瑪 「それはきっとグランチャーだったからよ」
勇 「いいや、そうじゃあない。そうじゃあないよ、きっと」
勇 「オルファンより比瑪の方こそ女神なのかもしれない。そういう感じ方をする心を持っているんだから」
比瑪 「勇、出てきたよ!」
勇 「オルファンの糞が!」
勇 「姉さんとジョナサンもオルファンから!」
クインシィ 「ガバナーも落ち着いていらっしゃるオルファンだ。が、大人しく帰るなら攻撃はしない。見逃してやろう」
比瑪 「勇、どうするの?」
勇 「あの3人だけなら俺が引きつける。おまえは行け!」
比瑪 「でも・・・」
勇 「オルファンが待ってるのは、きっとおまえのほうなんだ。出迎えてくれるよ!」
比瑪 「う、うん」
クインシィ 「どういうつもりだ!ブレン!」
勇 「行かせてやってくれ!姉さん!」
比瑪 「馬鹿を言うな!またブレンを自爆させてオルファンを傷つけるつもりなんだろう!」
勇 「違う!」
比瑪 「騙されるものか!」
勇 「いつになったら治るんだ!その性格は!」
比瑪 「ブレン待ってよ!勇を一人にしておけないわ!」
比瑪 「待ちなさい、止まりなさい!パートナーの言う事聞きなさいよ!」
シラー 「あのまま行かせて良いのですか?ジョナサン・グレーン!」
ジョナサン 「はっ。気にするなシラー。オルファンに魅了されるブレンパワードだっているさ。勇の進化したブレンは倒さにゃならんが、クインシィ・イッサーを守るように動かねばな」
シラー 「ああ。了解ジョナサン」
米軍兵A 「識別信号は無いのだな?」
米軍兵B 「オルファンのグランチャーには無いやつもいますが」
米軍兵C 「ノヴィス・ノアのブレンパワードです!一機、オルファン中央山脈に接近中!」
ゲイブリッジ 「勇君のか・・・比瑪ちゃんのじゃないか!流石だな」
米軍兵C 「迎撃隊出します!」
ゲイブリッジ 「その必要はない。ブレンの動きをフォロー。オルファンの体内反応のチェック」
米軍兵B 「オルファンのリアクション・・・チェック!」
ゲイブリッジ 「そうだ!」
米軍兵D 「ミスター・ガバナーへ。太平洋艦隊より入電、ノヴィス・ノアは未だに沈黙したままだそうです」
ゲイブリッジ 「やむをえん。最後通告を出せ!」
直子 「最後通告・・・ですか?」
ノヴィスクルーA 「アイリーン艦長!太平洋艦隊より最後通告がきました!」
アイリーン 「え?」
ノヴィスクルーA 「貴艦に30分の猶予を与える。それまでに人質を解放しオーガニック・エンジンを停止させなければ、核による攻撃を開始する!」
モハマド 「何だと?核の攻撃?」
ノヴィスクルーA 「僕だってスペルぐらい読めますよ!」
モハマド 「核兵器を使う?」
アイリーン 「あのアメリカが?どういう事」
副長 「艦長!オーガニック・シールドが核に通用するというデータはありませんよ!」
モハマド 「子供達を解放したにしても、アメリカは核を使ってくる・・・」
ノヴィスクルーB 「どうしてです?あの大国が?」
モハマド 「大国ったって、新興国のアメリカは今まで国家として自信が無かったんだ。しかしオルファンを手に入れて自信を付けてしまった」
副長 「なら我々も核を使いますか?」
アイリーン 「どちらにしても私達は攻撃される運命にありますね。だとしたら、子供達だけでも助けましょ!」
モハマド 「アイリーンさん・・・」
アイリーン 「オペレーター、太平洋艦隊へ返信!通告を受諾する、子供達を退鑑させる!以後の接触については協議したし!」
ノヴィスクルーA 「了解!」
クインシィ 「覚悟しろ!勇!」
勇 「覚悟なんかできるもんか!」
ジョナサン 「ならば悶え苦しんで死ぬがいい!」
勇 「ふざけるな!」
シラー 「お前を倒す事で全てを変革する事ができると、ジョナサンが言っている!」
勇 「それはそっちの都合だろ!」
比瑪 「オルファーン!聞えてー?聞いて欲しい事があるのー!オルファンさーん!」
ゲイブリッジ 「はい、オルファンの意思でなければスイッチは作動しません。大統領閣下。・・・了解であります」
直子 「ゲイブ!本当に、そのボタンを押してしまわれるんですか?」
ゲイブリッジ 「まあ見ていて下さい」
直子 「あなただって少し前までノヴィス・ノアを認めていたではありませんか!」
ゲイブリッジ 「彼等は過ぎた力を持ってしまったのです。それを野放しのままにしておいてはならないのです」
米軍兵 「我々は味方です。これからこちらの船に乗り換えてもらうから、静かに!」
ユキオ 「やだよー!」
デッキクルー 「待ってくれぇ!」
ユキオ 「何でだよ?俺達は元々この船,に乗ってたんだぞ!」
デッキクルー 「いいから早く!」
アカリ 「どうしてあたしたちまでアメリカなんかに行かなきゃならないのよ!」
クマゾー 「行かないも!」
ノヴィスクルーC 「艦長!キメリエスのレイト艦長から緊急連絡です」
アイリーン 「モニターに回して!」
レイト 「アイリーン艦長!敵戦略原潜のミサイルハッチの開閉音を探知!SLBMです!」
アイリーン 「どちらにしてもやるつもりなんだ・・・!」
比瑪 「オルファンさーん!解り合えるはずなのに戦うなんて絶対におかしいって思いません?オルファンさん!」
ゲイブリッジ 「失礼、時間ですので」
米軍兵 「ミスター・ガバナー!まだ救助艇が戻ってません!」
ゲイブリッジ 「予定は遂行する!」
米軍兵 「子供達がまだ・・・!」
直子 「・・・ゲイブ!」
ゲイブリッジ 「私がやらなければ他の誰かがやるのですから、私の手で!」
直子 「ゲイブ!」
ノヴィスクルーA 「ミサイル確認!…地域限定核弾頭搭載のものです!第1次被害、半径2000メートル以上!」
モハマド 「子供達が、まだ子供達が!」
アイリーン 「オーガニック・シールド発動!最大限!」
副長 「オーガニック・シールド最大?しかし急激過ぎます、バイタル・グロウブにどんな影響が出るか・・・!」
アイリーン 「やりなさい!」
副長 「か、艦長!ミ、ミサイルが!核ミサイルが消えました!」
モハマド 「消えた・・・?ああっ」
アイリーン 「急いでバイタル・グロウブの軌道計算をしなさい!」
ノヴィスクルーA 「計算出ました!大陸内部・・・オルファンに向っています!」
アイリーン 「やはりそういうこと」
米軍兵 「ミスター・ガバナー!ミサイルが現れました!」
ゲイブリッジ 「宜しい。その映像を全世界に送信しろ」
米軍兵 「りょ、了解!」
ゲイブリッジ 「ノヴィス・ノアは我々オルファンに対し卑劣にも核ミサイルを発射してきた。オルファンは既に数万の難民を収容しているにも関わらず、この愚挙に及んだのだ!」
比瑪 「きゃあああー!」
クインシィ 「これは!?」
ジョナサン 「まさか!?」
シラー 「核!」
勇 「比瑪はっ!?」
カント 「核・・・?」
ナッキィ 「爆発!?」
国連議員A 「ノヴィス・ノアが核ミサイルを!」
国連議員B 「我々の希望を踏み潰すつもりか!」
ゲイブリッジ 「だが我々はこれに屈しない!誇りあるアメリカ合衆国の名において我がオルファンはノヴィス・ノアと戦い続ける事をここに宣言する!」
ナッキイ 「アイリーン艦長も思い切った事をやったな」
カント 「こんな事するわけありませんよ!オルファンを核攻撃したってどうにかなるもんじゃないんですよ!」
ナッキイ 「じゃあ・・・」
カント 「これはオルファン側の策略に決まっているでしょう?」
(アイキャッチ)
米軍原潜艦長 「発射!」
ノヴィスクルーB 「第2派きます!物凄い数です!」
モハマド 「何故撃ってくるんだ!ノヴィス・ノアにはミサイルは効かないって何故分からないんだ!?」
副長 「しかしこの数が来るんだ、どうなるか分からんぞ!」
アイリーン 「効果があると分かっているんでしょう!覚悟してちょうだい」
ユキオ 「数が分からない?」
クマゾー 「も」
アカリ 「えー」
ユキオ 「うわっ」
クマゾー 「わぁー」
アカリ 「くるー!」
クマゾー 「…」
ユキオ 「人生はまだあるぞ!」
アカリ 「あるの?」
クマゾー 「あるも」
副長 「ミサイル全弾、バイタル・ネットに乗りました!」
アイリーン 「りょ、了解、神よ」
バロン 「ん?」
フィジシストA 「ミ、ミサイルじゃないか!」
フィジシストB 「オルファンに、我々に向ってる!」
バロン 「ガバナーの奴、ここに至ってあのノヴィス・ノアを孤立させ、自滅させるつもりか。その為にこんなにも手の込んだ芝居をうつのか!」
米軍士官 「ガバナー閣下へ」
ゲイブリッジ 「ん?」
米軍士官 「ここの大陸の政府から感謝状が入りました。我が国の増え過ぎた人口を合理的に間引きをして頂いてありがたい、と」
ゲイブリッジ 「そのような事・・・」
直子 「ゲイブ、あなたって人は・・・あなたって人は、人の命を何だと思っているのですか!」
ゲイブリッジ 「文明を妄信する人類の目を開かせる為にはこんな方法しか無かったんです!直子さん、私がこんな役目を喜んでやっているとでも思いますか!」
直子 「あなたはこんな事をする方ではなかった」
ゲイブリッジ 「僕は変わっていませんよ。昔からこの旧態依然とした社会に変革を齎そうと考えていました!その為だったら大量虐殺の汚名を着せられても受けるつもりです!」
ゲイブリッジ 「人類粛正の汚名は・・・全て僕が被るつもりです。しかし、ここまでのオルファンの動きは人類絶滅の方向に進んでいるんです」
直子 「ゲイブ・・・」
ゲイブリッジ 「しかしオルファンがもたらす結果が、地球の生命体全てを根絶やしにするとも思えないのです。ですからね、直子さん・・・」
ゲイブリッジ 「あなたには、あなただけにはこの気持ちを理解して欲しかった」
直子 「分かりました、もう何も言いません。もうあなたから離れませんから」
カント 「あれは核ミサイルの光・・・でも、ここにもオルファンに入国したいという人がいるんだ!」
ナッキイ 「どこへ行くんだ?カント!」
カント 「何とかしないといけないでしょ!」
ナッキイ 「何を、どうしようというんだよ。ここまで来て!」
クインシィ 「ミサイルが来るだと!?」
勇 「姉さんと戦っている時じゃない!この光・・・ネリー・ブレン、分かっているよな?」
ナッキイ 「どうやるんだよ!」
カント 「チャクラでトライアングルを作ります!ノヴィス・ノアの真似です!」
ナッキイ 「だったら、一人足りないぜ!?」
カント 「いや、今来ました」
ナッキイ 「うぉっ」
勇 「カント!」
カント 「チャクラ・トライアングルをバリアにします、いいですね?」
ナッキィ 「了解!」
勇 「いいぞ!」
カント 「数が多過ぎる!・・・駄目かもしれない」
勇 「もっと広がれ!俺達の後ろにはオルファンと比瑪がいるんだぞ!」
ナッキィ 「グランチャー?」
勇 「姉さん?」
ナッキィ 「こいつら?」
カント 「協力・・・してくれてる?」
シラー 「クインシィ・・・ジョナサン、何故ですか!」
ジョナサン 「ミサイルがオルファンに跳ね返るのはガバナーに分かっていた!奴の思い通りにさせる気はない!」
クインシィ 「オルファンが傷つけられるのを黙って見ていられるか!」
勇 「姉さん・・・クインシィ・イッサー!」
クインシィ 「分かっている!勇!」
勇 「みんな!力をー!」
勇 「止まれぇー!」
クインシィ
ジョナサン
シラー 「うおおおー!」
ナッキィ
カント 「うわあああ!」
ナッキィ 「止まった・・・」
カント 「止まったけど、起爆装置は?」
ジョナサン 「これが、アンチボディの力かよ!」
クインシィ 「不思議だ・・・不思議な感覚だ。涙が・・・涙が、溢れる・・・」
研作 「男の子だ、でかしたぞ翠!こいつは俺のDNAを継いだんだ!」
翠 「もうお姉ちゃんね、依衣子」
研作 「俺の子だ。俺のDNAだ!」
警官 「待てえ!」
ナッキィ 「うあっ!」
ナッキィ 「ママの誕生日なのに・・・!」
学生A 「天才の癖に誕生パーティなんかやるなよ」
学生B 「むかつくんだよ、人並みな振りしやがって」
学生C 「おーいカント!そーらよ!」
シラー 「皆起きて!今夜頑張ってくれれば明日にはパンを盗んできてやるから、死ぬんじゃないよ!・・・起きててよ!」
勇 「俺はもうお前には乗らない・・・乗りたくないんだ。お前だって辛がってるのが分かるから・・・乗らないよ・・・!」
比瑪 「さあ、もう泣かないで寂しくないよ。あたしだってあなたに触れるから寂しくない」
少女 「えっ?」
比瑪 「寂しがる殻というのがあってね、いつまでもそこに閉じ篭ってると泣いちゃうんだよ」
少女 「寂しがる殻?」
比瑪 「うん。その殻の中にいるとずっと泣いちゃうんだよ。だからね、そこからは出るの」
少女 「殻から出るの?」
比瑪 「そう。あたしは宇都宮比瑪っていうんだ」
少女 「比瑪姉ちゃん?」
比瑪 「そうだよ」
少女 「ああ!そうか!あたしね、比瑪姉ちゃんをずっと待ってたんだ!」
比瑪 「ああ・・・!」
比瑪 「あなた・・・」
比瑪 「きゃあああ!」
比瑪 「こんなもの、無くったって人は!生きていけます!」
比瑪 「めえでしょ!・・・うあっ!」
勇 「なんだ?」
カント 「チャクラ・シールドが膨張してるんです!みんな逃げて下さい!」
勇 「来たっ!」
クインシィ 「しまった!」
ジョナサン 「クインシィが!」
カント 「勇さん!」
ゲイブリッジ 「こういう力を持っていたんですよ直子さん、オーガニック・エナジーは」
直子 「え、ええ」
ゲイブリッジ 「オーガニック・エナジーの可能性というものを垣間見る事ができた」
直子 「比瑪ちゃんは・・・」
ゲイブリッジ 「すぐにあのブレンパワードを回収しろ!」
ジョナサン 「バロン!クインシィ・イッサーがどこかへ飛ばされてしまったんだぞ!なのに!」
バロン 「リクレイマー部隊の作戦は中止だ。今後はジョナサンが指揮をとればいい」
ジョナサン 「バロン!」
バロン 「オルファンが生まれ変わる時がきたのだ。ハーッハッ!」
アイリーン 「イランド部隊、ブレン達は勇達と合流、回収して!」
第20話「ガバナーの野望」←
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→第22話「乾坤一擲」
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